【スピーカー】
蟻田 剛毅(ありた・ごうき)
株式会社シュゼット・ホールディングス代表取締役社長。 1974年、兵庫県生まれ。関西学院大学卒業後、株式会社電通に入社。在籍中に早稲田大学大学院に入学し、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修了。卒業後、電通も退社し、2007年、父親の蟻田尚邦氏が起業した、アンリ・シャルパンティエ(当時)に入社。副社長を経て、2011年6月から現職。
【聞き手】
山口拓己(やまぐち・たくみ)
株式会社PR TIMES代表取締役社長。愛知県出身。大学卒業後、山一證券、アビームコンサルティングなどを経て 2006 年にベクトルに入社。同社取締役 CFO に就任。2007年にプレスリリースサービス「PR TIMES」を立ち上げ、PR TIMES の代表取締役社長に就任。2016年3月に東証マザーズに上場、2018年9月に東証一部へ。2020年1月にグッドパッチの社外取締役に就任(22年11月退任)、同年6月に東証マザーズに上場。同年 11月に地元豊橋市未来創生アドバイザー就任。
【モデレーター】
小早川幸一郎(こばやかわ・こういちろう)
クロスメディアグループ株式会社代表取締役。ビジネス書出版社での編集職を経て、2005年に(株)クロスメディア・パブリッシングを設立。以後、編集力を武器に「メディアを通じて人と企業の成長に寄与する事業を行い、社会に新しい価値を提供する」というビジョンのもと、クロスメディアグループ(株)を設立。出版事業、マーケティング支援事業、メディア事業、アクティブヘルス事業を展開中。編集者としては、約30年間で800冊以上の企画・制作に携わる。近年は『新規事業と多角化経営』『人間主義的経営』『これからのデザイン経営』など、最先端の経営をテーマにした書籍の編集を行う。
地方企業が、自社の溢れる魅力を世の中に伝えることができれば、日本中、世界中、どこに暮らしている人にも、自慢の商品の購入や、心ときめくサービスの体験をしてもらうことができます。そして、その土地独自の価値を求めて、日本中、世界中から人が訪れるようになります。
「地方発全国、日本発世界。」地方企業の潜在能力を信じ、そのポテンシャルの花が咲き誇れるように、地方企業の皆さまと想いを共にしながら、この国の明るく心豊かな未来をつくっていく。その意志のある人たちが集い、協力し合う場として、LOCAL GROWTH CONSORTIUMは発足しました。
本記事では、同団体の発足トークイベントSession.1の内容をお届けします。代表商品であるフィナンシェは8年連続でギネス世界記録を達成し、世界一のパティシエを輩出するシュゼット・ホールディングス。地元兵庫から世界に挑み続ける戦略について、同社代表の蟻田氏に、PR TIMES代表の山口氏が伺います。
※本記事は2024年4月にクロスメディアグループ株式会社、株式会社SUPER STUDIO、ソウルドアウト株式会社、株式会社PR TIMES、株式会社ロケットスターが共同で開催したLOCAL GROWTH CONSORTIUM発足イベントの内容をもとに文章化し、加筆・編集を行ったものです。
経営理念が企業の行動様式をつくる
小早川:まずお聞きしたいのは、経営理念についてです。シュゼット・ホールディングスさんは、蟻田さんのお父様が創業され、蟻田さんご自身は会社員を経て会社を継がれ、全国展開や世界展開を加速されました。代替わりする上で、経営理念は会社の軸となる非常に大事なものだと思います。御社の掲げている経営理念について、お話ください。「目指す場所/姿(Vision)」が「世界のスイーツグランドメゾンになる。」、「使命(Mission)」が「菓子と生きかたをつくる。」ですね。
蟻田:経営理念を重視しているか、そうではないかで、社員や会社の行動パターンが変わると思います。私の父は若い頃から全国で商売したいと言っていたらしく、幸いにも早い段階で4.5店舗と展開することができました。
ただ、複数拠点になると社員みんなと毎日顔を合わせることができなくなります。そのとき、先輩から「だから理念が必要なんだ」と言われたそうです。直接会わなくても、同じ言葉のもとでみんなが一つになる。父は経営理念をとても大事にしていました。
創業から40年目くらいに私が入社した頃も、本社では朝礼で理念を唱和していました。ところが、製造現場ではもう唱和をやめていたんですね。私は当初工場勤務で、本社へ行ったときに初めて知りました。
そのとき、「これが本当のうちのカルチャーなんだろうな」と思ったんです。当時は会社の調子も悪くなっていて、「ああ、やっぱり父が昔やっていた形に戻さないといけないのだな」と。同じように「もう1回理念に戻ってやろうぜ」と考えるメンバーがいることも知り、一緒に頑張りました。
その後、父とリバイバルプランを作って実行に移し、思ったより早く悪い状態を脱することができました。父が若い頃から大事にしていた経営理念とは、何か一つに決めてそこへ向かう、その理念のもとに一つになる。そうした行動様式のDNAみたいなものなのだと思います。企業の調子が悪く、みんなが一つにならないといけないときに力を発揮させてくれるのが経営理念だと感じています。
小早川:ありがとうございます。そのように経営理念を掲げる会社が、PR TIMESさんのサービスを使って発信していますよね。山口さんはそのサポートをする立場であり、ご自身で会社を立ち上げた経営者でもありますが、経営理念についてはどう思われますか?
山口:実は、私たちにはもともと経営理念がありませんでした。事業のコンセプトだけでずっと走ってきて、あえて作らなかったんです。おそらく日本の市場で経営理念を持たずに上場したのは、後にも先にも私たちだけだと思います。上場審査で「そんな会社はこれまでにない」と言われましたし、いまでは上場のためには経営理念が必要になっているようです。なかなか言語化がうまくいかず、上場してから何とかしようと思って、やっと「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」というミッションを掲げるようになりました。
今は、経営理念はとても重要だと思っています。当社もミッションができてからガラッと変わりました。ただ、良くも悪くも痛みを伴うものでもありました。それまで働いていた人の中には、会社が変わってしまったと感じる方もいたと思います。それを理由に去っていった人もいて、とても寂しく感じることもありました。一方で、会社が目指す方向がしっかり定まると、一緒に働く人の間に結束が生まれます。蟻田さんの言うように、行動様式が徐々に揃ってくるという側面もありました。
モノとコトの両輪を回す
小早川:シュゼット・ホールディングスさんでは、多くの店舗とスタッフを抱える中で、経営理念を共有するために取り組んでいることはありますか?
蟻田:やはり、父がずっとやっていた朝礼ですかね。うちは始業の9時から30分くらい朝礼をやっていて、必ず経営理念の唱和で始まります。働く人の年齢や性別もバラバラで、考え方も人それぞれ。そうした状況で、朝から全員で同じ言葉を唱和するというのは、意味があることなのではないかと思います。
会社の調子が良いときは何も問題はないんです。調子が悪いとき、本当にいい会社かどうかが問われます。どうでもいい会社だったら働く人も去っていくでしょうが、何か感じるものがあるからもう一回やってやろうと思ってもらえる。そのとき、みんなで共有している言葉がある種のよりどころになるはずです。厳しい状況でも、「今はあの言葉が大事なんだな」と受け止ってもらえると思います。
小早川:全国へ、世界へと展開を広げるためには、みんなが一つにまとまらなければいけません。そのために、経営理念は大事ですよね。
蟻田:そうですね。いまは平易な言葉に変えていますが、父はすごく難しいことを言っていました。「われらはひろく社会の成員たるを自覚し、つねに国家的、国際的視野を身につけ、よりよき人間関係の樹立と生活文化の充実とに寄与せんことを期す」。
モノ・コト消費の社会において、私たちはメーカーですが、作るモノだけに固執するのではなく、お客様のシチュエーションを考えなければいけません。クリスマスだからケーキを欲しいわけではなくて、パーティーがあるからケーキを買うわけです。モノが必要なコト、コトが必要なモノ。その両輪を回していくことが大事だと、父はこの言葉で語っていたのだと思います。
今、当社には世界で商売したり、海外の賞を取ったりする社員もいます。新旧の理念にある「世界」や「国際」という言葉が、私たちの打ち手のバックボーンになっているように感じます。
小早川:ありがとうございます。山口さん、今のお話を聞いていかがでしょうか。
山口:創業者の思いをとても大切にされてきたのですね。わかりやすい言葉に刷新しようと思った背景や、どんなことに留意して社員の方々に浸透させていったか、お聞かせいただけますか。
蟻田:刷新というよりは、リニューアルという方がふさわしいかもしれません。会社がマイナスのときは「何とか復活するぞ」と社員も一つになりやすいのですが、ちょっと水面に顔が浮かびだすと、いろいろ色気が出てくるわけです。それぞれが「もっとケーキをやりたい」「もっとデザートをやりたい」と別々の方を向き出したときに、改めて「創業者が何を考えていたか」ということに立ち返りました。
創業者と同じ思いを持って取り組んでいたときのことをみんなが忘れれば、タガが外れてしまいます。でも従業員にアンケートを取ったら、「理念が難しくて、実は意味がわかっていない」といった回答が多かったんです。お菓子で世の中を盛り上げていくには「モノとコトの両輪」が欠かせない。そのテーマは変えずに、今の人たちにとってわかりやすい言葉に変えました。
「世界一」を掲げることの価値
山口:御社の経営理念に、「世界一」というワードがあります。わかりやすい言葉ですが、とても大変な目標です。そこを掲げた意図について教えていただけますか。
蟻田:会社の調子が悪いときに、明るいニュースが欲しかったんです。業績は伸び悩んでいても、私には社員がやっていることは絶対正しいという確信がありました。ただただ、みんなを盛り上げたかったんです。先代もお菓子の本場であるヨーロッパに行きたいと言っていましたし、社内を盛り上げるためにも「世界に向けて」と明言することが必要だと思いました。
私たちの本拠地である西宮市はそれほど大きい町ではありませんし、当社は非上場です。だけど、世界一。最悪でも日本一でいこう。そう言っていたら、世界選手権に挑戦するシェフが出てきて、2023年には世界一にたどり着きました。当初は神戸市内大会で8位でしたからすごいことですよね。目標を定めるときに、「どうせやるなら世界だ」と思っていた。それがいまの山口さんの質問への答えになるかもしれません。
小早川:シュゼット・ホールディングスさんが、日本や世界へ展開する上で注意しているポイントなどをお話しいただけますか。
蟻田:私たちは主にデパートで売るケーキを作っています。デコレーションなども、それなりに凝ったものを作らないといけない。創業以来、いちご1つであってもベルトコンベアに乗ったものはないんです。
西宮の工場であれば東は愛知から西は福岡まで、横浜の工場であれば東は千葉から西は横浜まで配菓しています。手間のかかる作業をそれだけ多くやろうとすると、地元の方々の協力なくしてはできません。
ですから、ちょっと成功したからといって、安易に「大阪だ、東京だ、世界だ!」とはいえないですよね。もちろん挑戦は大事なことですし、現状シンガポールにも6店舗展開していますが、私たちのルーツは阪神間です。スタートは芦屋で、本拠地は兵庫県西宮市。その土地との関連を大切にしなければいけません。
一時は、基幹ブランド「アンリシャルパンティエ」のロゴから地名を除いていましたが、改めて私たちの事業の価値を考えると、喫茶店を始めた兵庫県芦屋市の地名は入れないといけないと思い直しました。いまは創業年とセットにして、「ASHIYA1969」とロゴに入れています。
小早川:なるほど。芦屋ブランドが大事というわけではなく、協力者のいる地元が大事ということなんですね。
蟻田:おっしゃる通りです。例えば、今パティシエを志す方は減ってきています。そうなると、私たちの事業は立ち行かなくなってしまう。ですから、売り上げの一部を専門学校の奨学金として、寄付しています。会社にとって負担でもありますが、奨学金を利用して卒業された方の中には、うちに就職してくださる方もいるんです。
本業と縁遠い地域活動をする会社もありますが、それによって一時期評判が上がっても、ちょっと業績が悪くなると整理の対象になってしまいます。それは真に地域のためになっているのかと、疑問に思います。
一方で、お互いにとっていい結果が生まれるサイクルであれば、寄付をやめる理由はまったくないんです。同じ理由で、北海道の就農支援もさせていただいています。乳製品は私たちにとってすごく大事なものですから。農業を継続するために売り上げの一部を寄付することで、乳製品が安定して入ってくる。そんな循環に寄与する取り組みです。
世の中の悩みをお菓子で解決する
小早川:山口さん、PR TIMESさんは多くの企業の事例に関わられていると思います。その視点からのお話も聞かせていただけますか。
山口:モノ消費ではなくコト消費、お菓子を提供しているのではなく、クリスマスのイベントなどその先にあることを含めて価値を提供するというお話が、すごく示唆に富んでいると感じました。
というのも、PRはアピールや情報を広めると思われがちですが、社会の声に耳を傾けて、それに対して自分たちが行動し、それを伝えてまた反応を見るということの繰り返しだと思っているんです。
お客様に提供するモノの先にある出来事を広く聞くというのは、まさにPRですよね。私たちもプレスリリースを出す企業、またプレスリリースを受け取るメディアの方だけではなくて、その先にある生活者の方の営みを見て事業をしようとしているものの、そこには課題があると思っています。
蟻田さんが事業をやる上で、商品の先にあるお客様の営みのようなものを、どう捉えているのか。そうした視点で、社員の方々へどう伝えているのかをお聞かせいただけると嬉しいです。
蟻田:実は父はパティシエでもコックでもなく、お菓子を作れる仲間がいるからと喫茶店を始めたんです。だから、モノで勝負するとパティシエが作る店に負けてしまう。そこで、最初に彼がしたことは空間を売るということでした。当時は高度経済成長で家電製品が普及し、女性の生活にも少しゆとりが出てきた。ヨーロッパやアメリカでは、その時間をティータイムとしてお洒落に楽しく過ごしている。それをやりたくて始めたようです。当社の基本は、やはりそこにあります。
ただ、私たちが扱うのは目に見えるケーキであり、それ自体の価値がわかりやすいんですよね。そうすると、「こんなおいしいケーキを作っているのに売れないのは、お客様が価値をわかっていないからだ」となってしまいがちです。
そういう時期には、商品紹介にも「この材料、この製法にこだわりました」とばかり書いているわけです。お客様にどんなシチュエーションで買ってほしいのか、どうしてこの商品がお客様のお役に立てるのかを考えなければいけません。
当社は50数年間、ほぼ毎年増収または増益しています。「モノとコトの両輪を回す」ことに関しては、ある程度実践できているでしょう。しかし、これまで売り先としてデパ地下だけを見ていればよかったのが、駅や空港も、通信販売も、海外もとなってくると、それぞれのお客様をもっとリアルに思い描いていく必要があります。
今、お客様に対して貢献しようという気持ちが本気なのかが、私たちに問われているのだと思います。各店舗の中には、あまり売れていないお店もあります。それを味の問題だとか流行が変わっただとかいう前に、自分たちが「菓子と生きかた」を本当に作れているのか考えなければいけません。
小早川:山口さんは、PRとは広報からではなく広聴、つまり広く聞くことから考えると仰っていますよね。まさにシュゼット・ホールディングスさんではそれを実践されているように思います。
蟻田:ケーキ屋をやっていると、「ショートケーキが出ました」「チョコレートケーキが出ました」とモノから語りたくなります。そうではなく、社員にはまず「ご用向きはなんですか」から聞いてくれと伝えています。
お客様のお買い物とは、課題解決です。例えば、昨日奥さんと喧嘩して今日手ぶらで帰ったら大変だといったときに、「お菓子を持って帰られたら楽しくなるはずですよ」とお伝えする。世の中の悩みをお菓子で解決するコンサルタント業こそが、私たちのやっていることです。そのためにも、まず広聴を行うべきという考えには非常に共感します。
広聴・行動・広報を繰り返す
小早川:では、次のテーマに移りましょう。山口さんからお聞きしたいのですが、採用のためのPRに力を入れている企業や、実際に採用がうまくいっている企業の例などを教えていただけますか。
山口:PRの効果というと、少ない労力で大きな結果が得られるようなイメージがありますよね。例えば、すごく知名度が上がるとか、採用のエントリーが増えるといったことが求められがちです。しかし、それが本当にPRとしていいことだとは思いません。
PRは広聴と広報の繰り返しである、さらに間の行動が最も重要だと思うんです。広聴と行動と広報を繰り返しながら、採用できる会社をつくり、候補者の方々にそれを伝えるということでしかないと思っています。
これまでは候補者が選考プロセスに入ってやっと情報を開示する企業が多かったのですが、今は積極的に、自社の活動を広く伝える企業が増えてきました。例えば、入社式を行ったというプレスリリースで、今年は初任給をこれだけ上げたといったことだけではなく、社員の育成といった観点での取り組みを発表する会社もあります。あるいは、これまでスタートアップやベンチャーがインターンシップについて積極的に情報発信していましたが、大企業でもプレスリリースを発表するところが増えています。さらに、人事の担当者がインターンシップにかける思いをプレスリリースに綴ることもあります。
うまくやるというよりも、今までやってきたことをしっかりと伝える。その結果を踏まえて、また次の取り組みを行うというサイクル。PRと採用活動が両輪で回っているイメージです。
小早川:ありがとうございます。蟻田さん、今のお話を聞いていかがでしょうか。
蟻田:本当におっしゃる通りだと思います。私は以前、広告代理店で働いていました。広告はその日の暮らしが楽しくなるかどうかに影響を及ぼし、PRは見る人の人生に対して影響が大きいものだと思います。自分の人生に関することについては、興味や関心よりも、ただ事実を知りたいものです。特に、就職は大きなライフイベントですから、楽しい脚本よりも事実が大事でしょう。
これだけ人集めが難しいと言われている時代ですが、弊社は新卒採用の応募をほぼしなくても、学校からお声掛けいただいています。世界選手権に出ているメンバーがいる、フィナンシェが世界で一番売れているという事実が伝わり、「この会社なら挑戦できそうだな」「自分の製菓技術でもっと面白いことできそうだ」といった期待感が膨らむのではないでしょうか。PRがリクルーティングに大きく影響を及ぼすということに関しては、完全に同意します。
小早川:ありがとうございます。最後に地方から全国、世界へチャレンジされている方、またすでにそういったお仕事をされている方へ、メッセージをお願いします。
山口:先週、ある大学で、同じ大学発の有力企業の話をしました。すると大学生が「彼らは自分たちとは違う」というんですね。「彼らができるなら自分たちもできる」と思ってもらえるような講義をしたかったのですが、私の力不足でした。今回のイベントや出版を通して、「彼らができるなら自分たちもできる。自分たちこそ」と思ってもらえるようなPR活動をしていきたいと思っています。
小早川:ありがとうございます。蟻田さん、よろしくお願いします。
蟻田:いまはデジタル、大都市、シンプルなどが注目を浴びやすいと思いますが、そうした世界はネットで叩かれることもあって大変ですよね。自分の好きなことはできないなと思います。
そうした状況で、私たちのようにアナログ、地方、サブカルの世界に属していることは、実はものすごいアドバンテージなのではないでしょうか。独りよがりではよくありませんが、好きなことをやって、それが誰かのアンテナに引っかかるといったアプローチは、私たちのような企業にとって武器になると思います。
平均を求めて少しチューニングに失敗した日本が、今後どうエッジを立てていくか。「次はこういうことに挑戦しろ」と、世界から突きつけられているのではないでしょうか。それを地方のアドバンテージにできればいいと思いますし、私も少しでも貢献できるように皆さんと一緒にやっていきたいと考えています。